お知らせ

新型コロナウィルスのオミクロン株がBA2さらに、BA5という変異株に置き換わり、急速に再拡大しています。

既に、2年半が経っていますが、収束の兆しが見えず、この状態が続いていくと考えた方がいいと思います。

経済産業省の直近の特定サービス産業の統計によると国内フィットネスクラブの売上は、前年比5%アップとなり、今年に入ってからは、上向きとなっています。ただ、まだコロナ前までには、回復していない状況です。

コロナ前は、フイットネス産業は、長らく、順調に伸びておりました。その折には、「フィットネスクラブ」は「生活関連サービス業,娯楽業」という位置付けから、「健康産業」として、「医療,福祉」に近い存在となってきていると経産省の報告書にはありました。

新型コロナウイルスが蔓延し、様々な業種に未曽有のダメージを与えましたが、フィットネス産業もその例外ではありませんでした。しかし、「COVID-19と身体活動の関連について」の様々な論文が発表され、コロナに打ち勝つには、運動がとても重要であるという知見は共通理解となり、積極的に運動を取り入れることが必要不可欠になっています。

フィットネスクラブにとっては、今こそ、メデイカルフイットネスの要素を取り入れて、いくことが重要です。

しかし、現在まで、行われているメデイカルフイットネスは、採算性が悪く、利益が出ている施設は、10%程度と報告されています(医療機関と健康運動指導士等との連携による運動療法の在り方に関する調査・研究、日本健康体力づくり事業財団、2018)

メディカルフィットネスという概念は、医療機関で行われるフィットネス施設及びサービスという意味合いで使われることが多いようですが、厳密な定義はありません。

私のこの場合のメディカルフィットネスは、運動療法という意味合いの言葉として使用しています。

メディカルフィットネス(運動療法)を行うことで、コロナに打勝ち、ステイホームで座位行動や腰痛者が増えて、不定愁訴を訴える人が増加し、身体の不調を訴える人に対してのサポートのためのブログラムを提供することが求められているからです。〔コロナ下で1日あたり座位時間が5時間から8時間に増加。(A Ammar.2020.12)、腰痛者の増加(Seyda Celenay2020.9)〕

また、前号で報告した、VO2maxを測定することで、新型コロナウイルスの患者のリスク層別化(リスク層別トリアージツール)に役割を果たす可能性が有ることが示されています。(Ahmed I et.al.2020)

運動プログラムに参加しておらず、最大酸素摂取量(VO2max)が低い者は、運動不足によるCOVID-19の感染リスクが最も高い集団です。(Ahmed I et.al.2020)したがって、感染症を予防するには、このような集団に最優先で運動を勧める必要があると思っています。

医療機関で、抗体濃度を測ることで、感染リスクを把握することはできると思われますが、現状の医療提供体制を考えると一般の人がその検査をすることは現実的ではありません。よって現状ではフィットネスクラブでVO2max測定することは、一般の方の感染リスクを把握し、予防のためのプログラムを提供することができるため、社会に求められていることだと思っています。

 

メディカルフィットネスを事業として進めていくためには、フィットネスや運動を継続するためのプログラムが不可欠です。しかし、運動は、続かないのが前提です。

それを、考えるにはエビデンスに基づいた科学を取り入れる必要があります。

・運動を始めたにも関わらず、半分の人は半年で辞めてしまう。〔Dishman(1988)〕〔(Berger, Pargman & Weinberg, 2002),〕

・フィットネスクラブに新たに入会したにもかかわらず、40~65%が、3~6か月で退会する。〔Jan Middelkamp et al,2017〕

・高齢者における継続性のある運動には対象者が「楽しい」「気持ちがいい」と思えること,「効果を実感できること」,「習慣化しやすいこと」の要素が必要〔細井俊希他.,2011〕

・疲れを感じるものや道具が必要なもの,運動していて気持ちがよくないものは自主的な運動継続に向かないことを報告〔Forkan et al. (2006)〕

・Harada らは 50 歳以上の成人の約半数が筋力トレーニングに対してやろうと思わない運動と答え,筋力トレーニングはきつい運動であるととらえている〔Harada K, et al.  2008〕

・会員の希望利用回数は9.50回/月だったが、実際の利用回数は最初の2ヶ月は、5.46回/月であり、その後6ヶ月で4.32回/月に低下〔DellaVigna& Malmendier(2006)〕

・行動意図と行動の間にはPlanningの存在している。Planning には Action Planning(行動プラン)とCoping Planningの2種類があり,行動プランとはいつ, どこで,どんな行動をするかというプランを示し,Coping Planningとは想定される様々な場面に対処する具体的なプランを示す。〔Schwarzer R. 2008〕

 

以上のような事実から、続けてもらうための方法が不足していると考えられます。

続けてもらうためのポイント

〇楽しさ

〇気持ちいいを感じてもらう

〇効果を感じてもらえる内容の提供

〇続けて来られると思える自信(Planning)をつけてあげる

〇ソーシャルサポート (退会予測プログラムから退会予備軍を優先してフォローアップ)

 

○楽しさ

楽しいと感じてもらう為の環境の整備とコンテンツの提供、例えば、イベントを行ったり、ゲーム的な要素を取り入れます。イベントスケジュールを作成し、あらかじめ会員に告知し積極的に来館を促す〔例、09日、29日:お肉の日(ウエスト周りを測る)、17日:柔軟(じゅうなな)の日:体前屈を測定、日曜日:じゃんけんデイ(じゃんけんで負けた人は腹筋10回やる)等〕

 

○気持ちいいを感じてもらう

コロナ禍でステイホームになりがちなので、不定愁訴が増えており、解消するためのパッシブエクササイズを提供し、身体が楽になり気持ちいいというアイテム(例.身体を温める、身体をほぐす、身体を伸ばす、軽運動、それぞれ気持ちよくなり、身体がほぐれ、血行が良くなるもの)を提供します。

 

○効果を感じてもらえる内容の提供

自転車エルゴメーターにて、VO2maxを測定し、コロナの感染リスクを把握し、基準値よりも低ければ、高めるためのプログラムを提供し、基準値を超えていれば、引き続きトレーニングを続け、感染リスクが高まらないように体力を維持していただきます。VO2maxを測定するイベント等を行い、会員以外の人の来館も促します。(チラシ例)

 

〇続けて来られると思える自信をつけてあげる

スタッフによるコーチングを行い、アクティブプランニングとコピープランニングを行い、目標、期間、頻度、内容を決めて、計画通り来館しているかどうかを継続的にチェックします。来ているようであれば、インセンティブ(ご褒美)、来ていないようであれば、プッシュ機能等で、来館を促します。

 

○ソーシャルサポート

入会時にアンケートを実施し、新規入会者の退会リスクを予測しそのデータをもとに、退会確率の高い会員から、

優先してフォローアップする。(※)

  • 2022年6月20日に、日本体力医学会発行の「体力科学」に『フィットネスクラブの新規会員における早期退会リスクを推定するモデルの開発』〔根本裕太・菊賀信雅〕が、原著論文として採択されました。

このプログラムを利用して、入会時の退会確率が、30%を超えている会員は、目標や利用頻度、効果の判定等のカウンセリングを入会時から徹底してコーチングし、退会させないようにします。

またフィットネスクラブでは、会員とのコミュニケーションを図るための積極的で総合的なサポートを行うことで、各個人の効果の判定や来館履歴の確認、来館ごとの体調(健康)チェック〔血圧、脈拍、体重、体温、自覚症状など〕、来館履歴に合わせてどこの施設アイテムを何時に利用したか等の記録も行うことが必要です。

実際、コロナ後には、健康志向の高まりから、ウオーキングやストレッチや筋トレをする人が増えており〔星玲奈他、2021.7〕、自宅にいることで増えたエクササイズ内容(ストレッチ、筋トレ、ラジオ体操、ラジオ体操以外の軽運動体操、ヨガ)を補完し、より安全な効果的なエクササイズを提供することも、施設側の役割だと思います。フィットネスクラブではまだまだ、集客が思うように進まず、特に地方では、いまだに、「フィットネスクラブはクラスターが起こるので危ないところだ」、「たくさんの人が集まるので、怖い!」というようなイメージが払拭されず、苦戦しています。メディカルフィットネスのプログラムを提供し、コロナに打勝つための積極的な取組みを進めて、なんとかFCに足を向けさせる方法を模索していかないといけません。

〇メディカルフィットネスで気持ちいいを感じてもらう          

「ほぐす」「伸ばす」「軽運動」コンディショニングマシン(例)

 

 

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