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                                                                                                     (株)プロフィットジャパン

                                                                          博士(医学) 菊 賀 信 雅

柔軟性向上と動脈スティフィネスの改善

2023年2月25日に厚生労働大臣認定、健康増進施設の学術大会が 早稲田大学で行われました。 その中では 現在行われているアクティブガイドの 見直しを進めており、リスク別アクティブガイドの策定を予定しているという話がありました。
それに先立って厚生労働省では 標準的な運動プログラムを作成しており その中には健常者 高齢者に加えて 疾患別運動プログラムも作成されていて 民間のフィットネスクラブを意識した マシンを使ったトレーニングプログラムで組み立てられています。これは確かに画期的なことだと思いますが、ただ内容には今まで現場で行われてきたものを踏襲したものとなっており 新しい取り組みとしては物足りなさを感じます。

そんな中 画期的な内容が、(一社)日本体力医学会の発行している『体力科学』の2月号に掲載されています。 〔2022年秋日本体力医学会のシンポジウムに取り上げられた内容〕それは柔軟性を向上させることで、動脈スティフネス(動脈硬化指数)を改善し、高血圧のリスクを下げられるというものです。 今までの運動プログラムには 高血圧は有酸素運動と筋力トレーニングを行うことで血圧を下げることができるというものでした。
今回の厚生労働省から出されてた「高血圧改善のための運動プログラム」にも、そのように書かれています。ただ 高齢者の継続的な運動には「楽しい」「気持ちがいい」と思えること,「効果を実感できること」,「習慣化しやすいこと」の要素が必要〔細井俊希 他.2011〕であり、Harada らは 50 歳以上の成人の約半数が筋力トレーニングに対してやろうと思わない運動と答え,筋力トレーニングはきつい運動であるととらえている〔Harada K,2008〕ため、「私はランニングマシンはできないわ」とか「筋トレは 私は無理」という方も多く高齢者の健康づくりを広く実施を促すには、もう少しゆるいものが必要とされています。
よって体を伸ばすだけの「ストレッチ」であれば、 誰でもが実施でき、『気持ちいい』とか『楽だ』ということが実感もあり、より多くの人が実施できます。ストレッチは 有酸素運動や筋力トレーニングよりは 体への負荷が少なく 歩行の3.0 メッツに対して、ストレッチは2.5 メッツ ですので 歩行よりは少しゆるい運動ではありますが かなり身体活動としては有用だと考えられます。
ストレッチを行うことで 習慣化を図り 継続して来館をいただくことで運動継続に結びつけていく流れが必要だと思っております。

現在、高血圧は、日本人における死亡リスクは、喫煙に次いで2位であり、また、死因の構成要素の2位心疾患、4位脳血管疾患に直接的にかかわっている疾患です。

日本における高血圧疾患を改善することは、最重要課題といっても過言ではありません。

 

 

学術的には、2009年に アメリカ生理学会の機関紙に体の柔軟性と動脈スティフネスの関係についての研究論文(Yamamoto et.al.2009.Am J Physiol Heart Circ Physiol )が発表されて以降 柔軟性と動脈スティフネスとの関係や 柔軟性を向上させる 運動である ストレッチングによる動脈スティフネスの影響に関する報告が増え 柔軟性 や ストレッチングの有用性が注目されるようになりました。

身体が固いと動脈スティフネスが高く動脈も硬化し、血管が固くなり血圧も上がる。身体が柔らかいと動脈スティフネスが低く、動脈の硬化が少なく血管も柔らかいので、血圧も低くなる。よって、身体の柔軟性が高くなると、血圧は低くなる可能性がある。

また日本人を対象とした大規模集団による疫学研究(22,972人を5年間追跡したコホート研究)において体の柔軟性と高血圧の発症との関連を調査した結果、運動習慣や体格とは独立して、柔軟性が高い人は高血圧 発症リスクは低いという結果が示されました。(Gando et al. 2021.Scand J Med Sci Sports)

高血圧発症リスクは、身体が固い⇒やや硬い⇒やや柔らかい⇒柔らかいの順に、低下します。

身体が硬いを1とすると、柔らかいでは、0.83となり、高血圧発症リスクが17%低くなります。

 

ストレッチの課題点

動脈スティフネスの増大は 高血圧の発症と関連していることが報告されていますが、これらの結果から体の柔軟性は動脈スティフネスとそれに続く高血圧発症リスクにも関連し 健康関連体力として重要な役割である可能性が強くなってきたと考えられます。

フィットネスの現場では、ストレッチは、ウオーミングアップやクールダウンとして行われたり、疲労回復や肩こり腰痛解消のための体調調整プログラムとしての利用が多くなっています。

ただ、ストレッチを自分で行おうとすると、なかなか正確に実施できなかったり、体が硬いことでうまく目的の部位が伸ばせないこともあったりします。各クラブでは、ビデオを見て行ったり、パーソナルトレーナーに指導してもらってストレッチしていますが、なかなか継続できないのが現状です。

マシンを使った定量的なストレッチ

当社では、20年以上前から、肩や腰、脚を動かしながらストレッチできるダイナミックストレッチの機器をオリジナルで開発して、利用しています。

ベッドで身体を横になるだけで、マシンがストレッチをしてくれるので、誰でも気持ちよく定量的なストレッチができ、会員からはとても好評です。
加えて、今回のストレッチで動脈スティフィネスの改善効果があるというエビデンスは、中高年の健康不安を解消するプログラムとしてとても有用なものになることでしょう。

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BMフレックス〔一番手前:ショルダー(腕から足先まで全身をストレッチします)

真ん中 :サイドサイド (腰から足まで腰背部を左右にストレッチします)〕

一番奥 :ベルビック (腰部、背部、骨盤周りをストレッチします)

右 側 :ノビノビ  (足関節の底屈、背屈を繰り返す、下腿部のストレッチします)

現在、BMフレックスを使用しての、血圧の改善に向けた6月より実証実験を予定しています。

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