お知らせ

健康日本21(第二次)の最終報告書の内容を受けて、 現行のアクティブガイドの見直しを進めており、リスク別アクティブガイドの策定を予定していると報告がありその一環として、厚生労働省では 標準的な運動プログラムを作成しており その中には健常者 高齢者に加えて 疾患別運動プログラムも作成されていて 民間のフィットネスクラブを意識した マシンを使ったトレーニングプログラムで組み立てられています。

今までのプログラム内容であれば、自重負荷トレーニングであったり、ウオーキングやジョギングの実施を促すというものでしたが、今回は筋力トレーニングマシンやトレッドミル、エルゴメーターを使った運動プログラムとして、疾病ごとの目標とする心拍数や筋トレの内容を具体的に上げて、民間のフイットネスクラブでのプログラム提供を促しています。よって、フィットネスクラブ側も、この流れに乗って積極的に取り組む必要性が高まっています。

プログラムの流れとしては、有酸素運動や筋力トレーニングの種目を選択、強度、時間、頻度を設定します。                    (図1)

図1の高血圧の人を対象とした運動プログラムでは、有酸素運動の種目は、エルゴメーター、トレッドミル、水中歩行のなかから1つを選択し、運動強度は中等度(50~60%最高心拍数〔自覚的強度;ポルグ指数10(楽)〕)時間は10分以内の運動を合計30分、頻度は、週3~5回となっています。

筋力トレーニングは、胸、背中、下肢の各大筋群から1種目ずつ選択し、強さは非常に軽い負荷で、10~15回を1~2セット、頻度は週に2~3回としています。

プログラムのモデルとしては、エルゴメーターで楽な強さ(心拍数100拍程度)で10分×3回、に加えてチエストプレス、ラットプルダウン、レッグプレスの各マシンを軽い重さで、12回1セットとなっています。

有酸素運動の強度については、厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト(e-ヘルスネット)では、

高血圧症を改善するための運動の中で、低・中強度の運動は収縮期血圧の上昇はわずかであるのに対して、高強度の運動は血圧上昇が著明であるため、自覚的運動強度として、中等度「ややきつい」と感じる程度の運動強度(最大酸素摂取量の40~60%程度)が推奨されています。

高血圧学会で出しているガイドラインの中の運動療法についての項目では、最大酸素摂取量の40-60%程度を推奨しています。〔ACSMも同様〕安全性を考慮すると、中等度強度にとどめるべきであるとしています。

よって、高血圧については、40~60%VO2max、仮に40%の強度で、カルボーネン法によって、目標心拍数を設定するとした場合

目標心拍数= (最高心拍数−安静時心拍数)×強度(%VO2max)+(安静時心拍数)= 拍/分 〔カルボーネン法〕

* たとえば50才、安静時心拍数が60拍/分の人では、 最高心拍数は220 − 50=170拍/分です。

よって、(170-60)× 40%+60=104拍/分

ボルグ指数で10-11の「楽」から「ややきつい」〔心拍数100-110拍/分〕となります。

 

運動プログラムに示されている最高心拍数の50~60%では、85~102拍/分となり、目標心拍数としては、少し低いと思われますが、安全性を最優先してのプログラムですので、効果を得る強度に高くすることについては、ドクターや健康運動指導士との相談が必要かと思います。

また、厚生労働省認定の健康増進施設の認定条件も大幅に緩和し(要件変更表)、広くたくさんのフイットネスクラブヘの門戸を開いています。

今こそ、フイットネスクラブでの、メデイカルフイットネスのサービス提供を行うべきです。

医療機関での運動施設をもうけることもできるようになっています〔医療法42条施設〕が、  まだまだ普及するにはいくつかのハードルがあると思います。(マーケティング、スタッフ、ソーシャルサポート等)

よって、必要なことは、フイットネスクラブでも、医療機関と提携し、メデイカルフイットネスプログラムを実施する体制を作り、積極的にアプローチすることで、よりたくさんのお客様の獲得に繋がります。〔医療機関でも積極的に42条施設を設けることも必要〕

メデイカルフイットネスプログラムは、誰でもいいわけではなく、もちろん要件があります。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、虚血性心疾患、腰痛、関節痛などの疾患を患っている方が対象です。ただ、上記の症状は、ある程度の年齢になれば、何らかの症状があり、医療機関にかかっている人が多いのが現状です。

その人に、提携医療機関に出向いていただき、検診を受けて、必要事項を書いてもらい、ドクターの指示に基づいて(運動処方箋の作成)それをクラブでプログラムを実施することで、医療費の控除を受けることが可能になります。〔指定運動施設の認定を受けた場合〕

疾病改善のために使ったフィットネスクラブ施設利用料の実施証明書と領収書をクラブ側で発行し、またドクターによる運動処方箋のコピーを持参して税務署に医療費控除の申請をすることで、10万円以上の部分に対して還付を受けることができます。これまでの実績では医療費控除を受けると、5000円~1万円の還付が可能であり、その控除申告書を持ってクラブにきていただくことで、クラブの会費も割引する仕組みを作っているフィットネスクラブもあります。そうすることで、メディカルフィットネス施設では、1~2ヶ月分程度の会費がバックされることになります。

厚生労働省は、令和4年9月の「健康増進普及月間」時に、 統一標語として「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ ~健康寿命の延伸~」を掲げています。また、海外でも、EIM(Exercise is medicine)健康になるためには、運動はそのための薬であるとするエビデンスが数多く発表され、積極的にフィットネスクラブでの運動を推奨していますので、日本でも、健康寿命の延伸、国民医療費の問題等を勘案すると、EBM:Evidence Based Medical Fitness を積極的に実践していかないといけないと強く感じています。

 

 

 

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