研究・業界情報

『退会者の傾向からみた、会員定着について』
(株)プロフィットジャパン
菊賀信雅


どのフィットネスクラブでも、会員数を増やすのに、必死に営業活動を行っています。とくに、震災以降、フィットネスクラブへの参加率が下がり、会員数を維持するためにあの手この手で、お客様へのサービスの充実を図っています。

会員を増やすためには、新規会員を増やすことと、退会者を減らすことの2つがあります。

新規会員を増やすためには、不特定多数へのPRが不可欠となり、膨大な広告料がかかります。一方退会者を減らすのは既存の会員(特定の人=住所も名前もわかっている人)へのフォローを行っていきます。

よって新規会員の募集より退会者予備軍へのアプローチはいろいろな情報(住所、名前、入会目的、今までの経過等)をクラブ側で持っているため、本来は、比較的容易にできることです。

当社では、数年前より、退会者の傾向を探るべくいくつかの指標及び、データを収集しております。

表1.入会から何か月で退会するかの集計です。

(入会月から退会する月までの1ヵ月ごとの月数と退会者数を集計)、別紙のようになりました。

(Aクラブ、オープンして5年、会員数5月末、現在380人、2011.4月~2012.3月までの全退会者数)

グラフⅠ


Aクラブの一年間に、やめた会員が、136人ですので、退会率は、年間35.8%です。(月間2.98%)

当社関連クラブとしては、平均的なクラブです。

いくつか、特徴があります。

 

この表やグラフを見ると入会後5ヶ月で退会する人数が最も多く、月数を経るごとに人数は減少し、1年半以上在籍した人の退会は極端に少なくなっています。(グラフⅠ)

ということは、クラブ側では会員になってもらったからといって安心はしていられないということです。何しろ入会して5ヶ月でやめてしまう人が最も多いわけですから!

少なくとも、5ヶ月では満足してやめるというのではなく、入ってみたら想像と実際が違ったとか、もっと頻度よく来れると思ったけれど、月に3回程度しか通えず、これではもったいないと意外と早めに見切りをつけてやめてしまっているようです。

また、退会者の退会直前の利用回数0回(未来館)の月数についてしらべたデータです。

全退会者のうち、利用回数0回が、3か月続いたら、ほぼ75%の確率でやめているということです。

次に、Bクラブのデータです。

(Bクラブ、オープンして1年、会員数5月末、現在257人、2011.4月~2012.3月までの全退会者数)


Bクラブは、震災の影響もあり、計画(1年で目標300人)よりも、会員数の伸びが遅れていますが、その分経費を圧縮して、経営的にはバランスを取っています。Bクラブの退会者数は、1年間56人で、年間退会率は、21.8%(月間約1.8%)です。

やはり、入会から半年以内やめる人が多いのですが、退会者の全体の会員数に対する割合は低い傾向にあります。

オープンして1年ということもありますが、AクラブとBクラブとでは、いくつか異なる点があります。

Aクラブは、期間や利用回数の制限がなくどれだけ利用しても月会費は変わりませんが、Bクラブは、継続希望月数や月間利用回数によって会費が異なります。半年会員(半年継続してご利用いただく会員)、一年会員(一年継続して利用いただく会員)、月8会員(月8回まで利用できる会員)、月9会員(月9回以上の利用が可能な会員)

などです。それによって、お客様の要望に近い会員区分を選択でき、ライフスタイルに合わせての利用が可能になるため、より継続して利用いただきやすくなりました。

それ以外にも以下のようなシステムの導入を実施・予定しています。

 

  • 会員定着のための実施・予定しているサポートシステム
  • 180日サポートシステム

一ヶ月ごとに、なんかもらえる

1ヶ月目 4回来たら Tシャツプレゼント

2ヶ月目 4回来たら フィットネスバックプレゼント

3ヶ月目 4回来たら マッサージ券プレゼント

  • 8回パーソナル指導システム

8回までは、予約制にして、フォローする

 

  • 6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月でのキャッシュバック(例3000円)

6ヶ月経ったら3000円キャッシュバック

12ヶ月経ったら3000円 キャッシュバック

24ヶ月経ったら 5,000円キャッシュバック

 

  • 経年による会費割引システム(1年ごとに5%ディスカウント)

通 常   5,000円

一年経過  4,750円

2年経過  4,500円

3年経過  4,250円

4年~   4,000円

 

  • 利用回数別月会費  (後払い)

0~3回 3,000円/月

4~8回 4,500円/月

9回~  6,000円/月

 

いずれにしても、お客様の要望、参加希望期間、経済状況とライフスタイルに合わせてクラブ側のサービスを細かくニーズに合わせて対応できることが不可欠であり、おそらく5番目の、利用回数別月会費〔後払い〕あたりが、お客様からみた望まれる運営システムに近いのではないでしょうか。

そうすれば、退会者0人も夢ではなくなると思います。

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